身体の基本知識3
前回に引き続き身体について書いていきたいと思います。
今回は、第3段として、血管とリンパについて書いて参ります。
1.血液
血液には、血球成分と血漿成分とがあり、血球成分には、赤血球・白血球・血小板とがあります。
A.赤血球
数としては、成人男性で430万~570万、成人女性で380万~500万くらいあり、全身の細胞のうち約1/3となります。
赤血球中のヘモグロビンの働きによって、酸素と結び付くと鮮やかな紅色となり、離れると暗い赤色になります。
これにより動脈と静脈との色の違いに繋がります。
つまり、酸素を末端の細胞へ運ぶ役割となります。
B.白血球
数としては、5000~9000くらいとなります。
白血球には、好中珠、リンパ珠、好酸珠、好塩基珠の5種があります。
数の上では、好中珠とリンパ珠は、白血球中の大半を占めております。
それぞれにより働きは、違いますが大まかに免疫に関わる役割があります。
C.血小板
数としては、15万~40万くらいとなり、血液の凝固作用の役割があります。
D.血漿成分(液性成分)
血液中の50~60%くらいを占めている液体であり、うち90%は水分であり、残りは血漿たんぱくや電解質となります。
この血漿成分により、血球成分やその他物質を、必要なところへ運搬する役割があります。
2.血管
血管は、血液を全身に巡らせるための管となります。
心臓から出発し、酸素や栄養を運ぶ[動脈]によって全身の毛細血管へ至り、各細胞組織へ必要なものを届けていいます。
そして、全身の細胞からの老廃物などを受け取り、[静脈]となって心臓へと戻ります。
さらに心臓から肺へ行き、また新しい酸素をもらってきます。
ちなみに、血液の流れには、基本的に逆流はありません。
動脈は、心臓によるポンプ機能から押し出される圧力によって、かなり勢いよく流れますので逆流はできず、静脈は、動脈に比べるとかなり勢いはないため逆流を防止するために弁があります。
ただでさえ勢いのない静脈は、部位によっては重力に逆らって上がってこなければならないために、サポート役として筋肉の伸縮による筋ポンプ作用も使いながら心臓へ戻ってくることになります。
普段、指先を切ったりしたときには、ほとんどが毛細血管や静脈を切ったことであり、もし動脈をザックリ切ったりすると、かなり大変なことになります。
動脈を流れる血液は、かなり暖かいので体温調整という意味でも大切な役割があります。
つまり、冷え性の場合には、帰り道である静脈の流れが悪くなることにより、せっかく暖かい動脈血で身体を暖めたのにも関わらず、帰りに時間がかかることで冷まされてしまうことによって起こってくるのです。
その原因は、自律神経の働きが不安定になっていたりといろんな要因が重なっております。
3.リンパ液について
A.リンパ液の分類
リンパ液には、細胞組織の間を満たしている[間質リンパ]という広義のリンパ液、リンパ管を流れ全身を巡っている[管内]リンパ]という狭義のリンパ液とに分けることができます。
一般的なリンパとは、狭義の管内リンパを指している場合が多いと思います。
B.間質リンパと管内リンパのつながり
間質リンパと細胞の間において、各物質やガスの交換が行われ、細胞に必要なものを細胞へ与え、細胞から不要なもの(老廃物など)を受け取ります。
物質交換を終えたのちに、10~20%が毛細リンパ管に入り、管内リンパ液として体内を巡ります。
残りの80~90%は毛細血管へ入り静脈へと続きます。
C.リンパ液の成分
アルカリ性の黄色い血漿成分からなる漿液性の液体となり、一部の血球成分も含まれます。
4.リンパ管について
A.リンパの働き
a.免疫
リンパ珠の数が多くなっており、免疫に関わっております。
b.物質の運搬
・老廃物や異物などをリンパ節へ運搬します。
B.リンパ管について
リンパ管は、静脈に沿うよう全身に張り巡らされており、最終的には、首の付け根あたりで静脈と合流し、静脈血と共に心臓へ送られております。
その途中において、必ずどこかのリンパ節を通ることで老廃物や異物が除去された上で静脈へ合流されます。
また、リンパ管の構造は静脈と似た感じになっており、中を流れるリンパは血流に比べてもかなりゆっくりと流れております。
5.リンパ節について
A.リンパ節の数と場所
リンパ管のあちこちに、大小のそら豆状のリンパ節が、400~700くらい存在しており、かなりの数が腹部に集中しております。
その他にも、頚部や腋窩部、鼠径部などいろんなところに存在しております。
B.リンパ節働き
リンパ節の中には、リンパ珠が多く存在しており、リンパと共にリンパ節へ流れてきた異物(体に悪い病原体や老廃物)を網目に絡ませ、その異物をリンパ珠が処理(補食)します。
処理しきれなかったものはリンパ節内に溜め込み、先への流入を防止することができます。
病原体の力が強すぎてしまったり、免疫が落ちていたりすることにより、リンパ節内が戦場になることでリンパ節が腫れ、熱を出したりもします。
C.ガンの転移
ガン細胞などについては、リンパ珠で処理しきれず蓄積されたガン細胞の増殖により、リンパ節転移となってしまいます。
有名な奨励としては、乳ガンによる腋窩リンパ節転移などが、これになります。
6.免疫
白血球やリンパ節の働きを中心とした[身体の防衛機能]であり、体内に侵入してきた悪影響を及ぼす外敵(細菌やウイルス、その他異物)と戦い、身体を守る役割を[免疫]といいます。
リンパ節以外にも、扁桃にもリンパ珠が集中しているため免疫に関与しており、胃や腸をはじめとした、その他器官によっても身体は守られております。
A.抗原と抗体
抗原とは、体内に侵入してきた異物のことであり、細菌やウィルスなどの感染による原因物質のこととなります。
抗体とは、各抗原に合わせて作られるものであり、いわばその抗原に対する専用武器や特効薬みたいなものとなります。
つまり、新型インフルエンザやとりインフルエンザなどの怖いところは、未知なるウィルスのため抗体が存在しておらず、できる頃には、かなりの感染者がでてしまうのです。
また、中には抗体があってもやっかいな細菌やウイルスも存在しているのが現状となります。
日本においては、滅多なことでもない限りは、やっかいな細菌やウィルスの感染は少ないと思いますが・・・
将来、どんなやばいヤツが生まれたり、渡ってくるかはわかりません。
なんにしろ、体の免疫力を低下させないようにしていくことが何より大切となります。
B.鼻水や痰、膿
免疫においての戦いで、死滅してしまった白血球などの死骸、抗原やその死骸を体の外へ出すための反応となります。
色や成分、粘度などは原因によって異なります。
C.発熱
こちらも、免疫において出てくる反応となります。
白血球と行軍との間に起こる争いの中で生じた熱となります。
つまり、熱が出ている間は、争いの真っ最中であり、その熱によっても抗原を倒せるのにも関わらず、解熱剤などにより無理に体内から熱を抑えてしまうと、争いを中断してしまい、抗原を撲滅できずに、結局は治るのに余計な時間をかけてしまうことになり兼ねないのです。
ただし、インフルエンザのような高熱がでている場合には、脳をはじめ身体にかかる負担が大きすぎるので、解熱剤を利用した方がよいと思います。
D.その他
それ以外に、咳、下痢なども外敵から身を守るための防衛反応となります。
その為、熱同様、薬などで無理に抑えることは、かえって戦いを長引かせてしまう場合もあります。
あとは、涙や汗なども目の中や皮膚についたものを洗い流すという意味で体を守っております。
E.免疫とアレルギー
アレルギーとは、本来は身体に無害の異物(花粉や食物など)を、有害と見なしてしまう、いわば免疫の過剰反応となります。
その為、衛生的な国々や地域にしかアレルギーはありません。
何故なら、衛生的に不十分な地域には、免疫をフルに使っているので過剰に反応する余力がないためです。
ここまで第3段として、[血管やリンパ管、免疫系、内分泌腺系について]色々と書いて参りましたが、これらのことをちょっとした雑学として頭の片隅にでもおいといて頂けると幸いです。
次回は、第4段として、神経系のについて書いていきたいと思います。